darでバックアップをとるシェルスクリプト
darというコマンドがある。データを圧縮、バックアップするツールだ。tarと似ているが、差分バックアップが簡単にできるので便利だ。詳しくはDAR公式サイトを見てほしい。
バックアップなんてものは自動的にやっておかないと続かないものなので、darでバックアップをとるためのbashスクリプトを作成した。cronに登録して、一日一回、ホームディレクトリ以下をまるごとバックアップすることを想定している。ソースコードは長いので一番下に書いておく。
特徴
cronに「日曜日はフルバックアップ、それ以外は差分バックアップ」みたいな感じで登録すると、たまたま日曜日にPCの電源を入れていなかったときなんかには、次の日曜日までフルバックアップが行われなくなる。このスクリプトでは、1回フルバックアップ->6回差分バックアップ、みたいな順番が守られる。フルバックアップが飛ばされた場合、次の日に行われる。
使い方
まず、ソースコード中の定数を変更する。バックアップ対象のパスなんかはハードコーディングされているので、必要に応じて変更すること。
- BACKUP_DEST_DIR
- 作成したバックアップを配置するディレクトリ。この下にどんどん新しいバックアップが作られる。
- DAR_ROOT_DIR
- バックアップ対象の起点となるディレクトリ。バックアップ内のパスはこのディレクトリからの相対パスとなる。
- BACKUP_TARGET
- バックアップ対象。DAR_ROOT_DIRからの相対パスで指定すること。
- DAR_EXCLUDE_SUBDIR_OPTION
- バックアップ対象から除外するディレクトリ。特にBACKUP_DEST_DIRがバックアップから外れるようにすること。そうしないと永久にバックアップが終わらないっぽい。
そして、あらかじめBACKUP_DEST_DIRディレクトリを作成しておいてから、以下のいずれかのコマンドでバックアップをとる(darbakという名前でシェルスクリプトを作成した場合の例)。
# フルバックアップをとる % darbak -f # 最新のフルバックアップに対する差分バックアップをとる # 先にフルバックアップをとっておかないと実行できない % darbak -d # 最新のフルバックアップを元にした差分バックアップがNUM個より少ない場合、 # 差分バックアップをとる # そうでない場合、フルバックアップをとる # つまり、一つのフルバックアップに対して差分バックアップを最大NUM回までとる % darbak -a NUM
cronに登録する場合の例は以下。
40 22 * * * $HOME/bin/darbak -a 6 > /dev/null
バックアップからの復元方法
例
% cd ~/tmp % dar -x ~/.backup/home-full-2008-01-31 % dar -x ~/.backup/home-diff-2008-02-01
また-waオプションをつけると、ファイルを上書きまたは削除する場合でも警告しないようになる。ただし、オプションはコマンドラインの最後につけること(2008-01-31 のさらに後)。
何日か使いつづけた例
darbak-data/
-- 2008-09-12/ | |
-- home-diff-2008-09-14.1.dar | |
-- home-diff-2008-09-15.1.dar | |
-- home-diff-2008-09-16.1.dar | |
-- home-diff-2008-09-17.1.dar | |
-- home-diff-2008-09-18.1.dar | |
-- home-diff-2008-09-19.1.dar | |
`-- home-full-2008-09-12.1.dar |
ここからさらにdarbak -a 6
を実行すると、新たに2008-09-20/home-diff-2008-09-25.1.dar
が作られる。
注意点
- 日付けでバックアップファイル名を決めているので、1日1回しか実行できない。2回目以降は何もしない。
- 多重起動するとたぶんまずい。
- BACKUP_DEST_DIR(バックアップを作成するディレクトリ)以下は空の状態から使い始め、手動でファイルを足したりしないこと。
- どんどんバックアップファイルが増え続ける。適当に古いのは削除しないと困ると思う。
- 実行するにはperlが必要。
ソースコード
#!/bin/bash ########################################################## # darバックアップ実行スクリプト # # フルバックアップモードでの動作 # BACKUP_DEST_DIR以下にその日の日付でディレクトリを作成し、 # その下に'full + 日付'というサフィックスを付加して # アーカイブを作成する # 例: 2008-01-31/home-full-2008-01-31.1.dar # すでに同じ名前のファイルが存在する場合、何もしない # # 差分バックアップモードでの動作 # 最も新しいフルバックアップを探し、 # 同じディレクトリに、そのフルバックアップに対する # 差分アーカイブを作成する # 作成するアーカイブには'diff + 日付'というサフィックスを付加する # 例: 2008-01-31/home-diff-2008-02-01.1.dar # すでに同じ名前のファイルが存在する場合、何もしない # # 自動判定モードでの動作 # 最も新しいフルバックアップを基準とする差分バックアップの数を数える # 差分バックアップの数が指定数より小さい場合、 # 差分バックアップを行う # 指定数と等しい、または大きい場合、フルバックアップを行う # ########################################################## set -o noglob ##################### #定数 ##################### declare -r SCRIPT_NAME=${0##*/} #何度もdateコマンドを実行して日付を取得すると #スクリプト実行中に日付が変わってしまった場合に #整合性がとれなくなる #そのため、1回だけ取得して日付を固定させておく declare -r NOW_DATE=$(date '+%Y-%m-%d') #バックアップアーカイブを作成するディレクトリ #最後に'/'を付加すること declare -r BACKUP_DEST_DIR=${HOME}/.backup/darbak-data/ #バックアップ対象の起点となるディレクトリ #-gオプションで指定するターゲットは #このルートディレクトリからの相対パスで指定する declare -r DAR_ROOT_DIR=/home #バックアップ対象 #DAR_ROOT_DIRからの相対パスで指定すること #ディレクトリの場合でも最後に'/'をしないこと declare -r BACKUP_TARGET=${LOGNAME} #作成するアーカイブの名前のプレフィックス declare -r ARCHIVE_BASE_NAME='home' #アーカイブ作成時の共通オプション #-n: ファイルを上書きしない #-Q: 端末から起動していない場合は、警告を表示しない #-y: bzip2形式で圧縮したアーカイブを作成する #-P: 除外するディレクトリを指定する declare -r DAR_EXCLUDE_SUBDIR_OPTION="-P ${BACKUP_TARGET}/.backup -P ${BACKUP_TARGET}/var/download" #-X: 除外するファイルを指定する declare -r DAR_EXCLUDE_FILE_OPTION='-X lock -X *~ -X *.swp' #-Z: 圧縮しないファイルを指定する declare -r DAR_EXCLUDE_COMPRESSION_OPTION='-Z *.gz -Z *.png -Z *.jpg -Z *.jpeg -Z *.bz2' declare -r DAR_COMMON_OPTION="-n -Q -y $DAR_EXCLUDE_SUBDIR_OPTION $DAR_EXCLUDE_FILE_OPTION $DAR_EXCLUDE_COMPRESSION_OPTION" ##################### #関数 ##################### #ヘルプを出力する print_usage() { cat << EOF Usage: $SCRIPT_NAME [-f|-d|-a NUM] Backup home directory to dar archive. Backup files will be created in '$BACKUP_DEST_DIR'. This directory have to exist before this script is run. Your home directory is ${DAR_ROOT_DIR}/${BACKUP_TARGET}. -f make a full backup [default] -d make a differential backup -a NUM if the number of differential backups is NUM or more, make a full backup else, make a differential backup -h display this help and exit EOF } #エラーを出力する print_error() { echo "$SCRIPT_NAME: $@" 1>&2 echo "Try \`-h' option for more information." 1>&2 } #日付が最も新しいディレクトリ名を取得する #引数 #$1: バックアップ対象の起点となるディレクトリ # '/'から始まるフルパスで指定すること #戻り値: 最も新しいディレクトリ名 # 最後に'/'を付加しない #説明: 引数で指定されたディレクトリの下から # 名前が日付形式になっているディレクトリを探し、 # その中で最も日付が新しいディレクトリ名を返す get_latest_directory() { local target_dir=$1 find $target_dir -type d -printf '%f\n' \ | perl -lne " / ^ [[:digit:]]+ #年 - (?: #月 0[1-9] | 1[012] ) - (?: #日 0[1-9] | [12][0-9] | 3[01] ) $ /x && print" \ | sort -r \ | head -n 1 } #差分バックアップの数を取得する #引数 #$1: 差分バックアップを探すディレクトリ # '/'から始まるフルパスで指定すること #戻り値: 差分バックアップの数 #説明: 引数で指定されたディレクトリの下から # 差分バックアップアーカイブを探し、 # その数を返す get_num_of_differential_backup() { local target_dir=$1 find $target_dir -maxdepth 1 -type f -printf '%f\n' \ | perl -lne " / ^ \\Q$ARCHIVE_BASE_NAME\\E -diff- [[:digit:]]+ #年 - (?: #月 0[1-9] | 1[012] ) - (?: #日 0[1-9] | [12][0-9] | 3[01] ) \.[1-9][0-9]*\.dar $ /x && print" \ | wc -l } ##################### #メイン処理 ##################### #変数 #バックアップモード #FULL: フルバックアップ #DIFF: 差分バックアップ #AUTO: フル/差分のいずれかを自動的に判定する backup_mode="FULL" #新しく作成するアーカイブ名 archive_name="" #差分バックアップの際に基準とするフルバックアップのアーカイブ名 reference_archive_name="" #最新のフルバックアップが行われたディレクトリ名 latest_directory="" #自動判定モードで作成する差分バックアップの数 diff_backup_num="" #引数解析 while getopts ':fda:h' option; do case $option in f) backup_mode="FULL" ;; d) backup_mode="DIFF" ;; a) #自動判定モード #1以上の整数以外が指定されていたらエラーとする if ! echo $OPTARG | grep '^[1-9][0-9]*$' >/dev/null 2>&1; then print_error "number must be greater than 0 -- $OPTARG" exit 1 fi backup_mode="AUTO" diff_backup_num=$OPTARG ;; h) print_usage exit 0 ;; :) #オプション引数欠如 print_error "option requires an argument -- $OPTARG" exit 1 ;; *) #不明なオプション print_error "invalid option -- $OPTARG" exit 1 ;; esac done shift $(expr $OPTIND - 1) #バックアップアーカイブを作成するディレクトリが #存在しない場合、エラーとする if [ ! -d "$BACKUP_DEST_DIR" ]; then print_error "not found backup destination directory: $BACKUP_DEST_DIR" exit 1 fi #自動判定モードの場合の処理 #差分バックアップの数によってフルバックアップか #差分バックアップかを切り換える if [ "$backup_mode" == "AUTO" ]; then #最新のフルバックアップが行われたディレクトリ名を取得する latest_directory=$(get_latest_directory $BACKUP_DEST_DIR) if [ -z "$latest_directory" ]; then #フルバックアップが見つからなかった場合 #フルバックアップを行う backup_mode="FULL" else #フルバックアップが見つかった場合 #差分バックアップの数を取得する if [ $(get_num_of_differential_backup ${BACKUP_DEST_DIR}${latest_directory}) \ -ge "$diff_backup_num" ]; then #差分バックアップの数が指定数と等しい、または大きい場合 backup_mode="FULL" else #差分バックアップの数が指定数より小さい場合 backup_mode="DIFF" fi fi latest_directory="" fi #$backup_modeによってモードを切り換える if [ "$backup_mode" == "DIFF" ]; then #差分バックアップ #最新のフルバックアップが行われたディレクトリ名を取得する latest_directory=$(get_latest_directory $BACKUP_DEST_DIR) if [ -z "$latest_directory" ]; then #フルバックアップが見つからなかった場合 print_error "could not find a full backup in $BACKUP_DEST_DIR" exit 1 fi #基準とするフルバックアップのアーカイブ名を取得する reference_archive_name=${ARCHIVE_BASE_NAME}-full-${latest_directory} archive_name=${BACKUP_DEST_DIR}${latest_directory}/${ARCHIVE_BASE_NAME}-diff-${NOW_DATE} dar $DAR_COMMON_OPTION -c $archive_name \ -R $DAR_ROOT_DIR -g $BACKUP_TARGET \ -A ${BACKUP_DEST_DIR}${latest_directory}/${reference_archive_name} else #フルバックアップ if ! mkdir ${BACKUP_DEST_DIR}${NOW_DATE}; then #ディレクトリ作成に失敗した場合 print_error "could not make a full backup" exit 1 fi archive_name=${BACKUP_DEST_DIR}${NOW_DATE}/${ARCHIVE_BASE_NAME}-full-${NOW_DATE} #アーカイブを作成する dar $DAR_COMMON_OPTION -c $archive_name \ -R $DAR_ROOT_DIR -g $BACKUP_TARGET fi exit $?