重複したSubversionリポジトリのバックアップを削除するシェルスクリプト
前回作ったSubversionリポジトリのバックアップをとるシェルスクリプトでバックアップをとりまくると、バックアップアーカイブがどんどん増えていく。特に、以下のような同じリビジョンに対する重複したバックアップが増えていく。
mozilla-135.tar.gz mozilla-135-1.tar.gz mozilla-135-2.tar.gz
同じリビジョンを何度もバックアップしてもしょうがない。無駄だ。なので、こういう重複したバックアップを削除するシェルスクリプトを作成した。ソースコードは長いので下に書いておく。
特徴
Subversionリポジトリのバックアップをとるシェルスクリプトでバックアップを取りつづけると、バックアップを置くディレクトリはこんな風になる。
%ls -1 /home/mollifier/.backup/svn/ etc-23.tar.gz etc-23-1.tar.gz etc-23-2.tar.gz etc-24.tar.gz etc-24-1.tar.gz mozilla-103.tar.gz mozilla-103-1.tar.gz mozilla-103-2.tar.gz mozilla-104.tar.gz mozilla-104-1.tar.gz mozilla-105.tar.gz mozilla-105-1.tar.gz mozilla-105-2.tar.gz
実効後はこうなる。
%ls -1 /home/mollifier/.backup/svn/ etc-23.tar.gz etc-24.tar.gz mozilla-103.tar.gz mozilla-104.tar.gz mozilla-105.tar.gz
使い方
まず、ソースコード中の定数を変更する。
- BACKUP_DIR_PATH
- バックアップ先のディレクトリ。svnbakのBACKUP_DIRと同じ値(ただし、こちらの場合は末尾に'/'をつけない)。
そして、バックアップをとった後に以下のコマンドを実行する(clsvnという名前でシェルスクリプトを作成した場合の例)。
# 削除対象となるバックアップアーカイブ名を出力する (削除はしない) # バックアップがgzip形式で圧縮されているとみなす % clsvn -t gz /home/mollifier/.backup/svn/etc-23-1.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/etc-23-2.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/etc-24-1.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-103-1.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-103-2.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-104-1.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-105-1.tar.gz /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-105-2.tar.gz # 削除対象となるバックアップを削除する % clsvn -t gz rm # デフォルトでgzとみなすため、-tオプションは省略してもよい % clsvn rm
また、svnbak backup でバックアップをとっている場合は以下のようにする。
# 削除対象となるバックアップアーカイブ名を出力する (削除はしない) # バックアップが圧縮していないディレクトリであるとみなす % clsvn -t dir /home/mollifier/.backup/svn/etc-23-1/ /home/mollifier/.backup/svn/etc-23-2/ /home/mollifier/.backup/svn/etc-24-1/ /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-103-1/ /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-103-2/ /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-104-1/ /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-105-1/ /home/mollifier/.backup/svn/mozilla-105-2/ # 削除対象となるバックアップを削除する % clsvn -t dir rm
注意点
- 'rm'をつけると本当に削除します。注意しましょう。最初はバックアップのバックアップをとっておいたほうが良いかもしれません。
- スペースが入ったディレクトリ名があるとまずいかもしれません。
- 削除対象がめちゃくちゃ多いときはまずいかもしれません(最後の for try in $( ... ) の所)。
- --sort=version, --indicator-style=slashオプションが使えるls、--no-run-if-emptyオプションが使えるxargsが必要です。
- perlも必要です。
ソースコード
#!/bin/bash ########################################################## # 重複したSubversionリポジトリのバックアップを削除する # # hot-backupを使用してリポジトリのバックアップをとると、 # 同じリビジョンのバックアップファイルが存在していたとしても # さらにバックアップファイルが作成されてしまう # それら不要なバックアップを削除する # リビジョンが異なるバックアップは削除せず、そのまま残す # # バックアップファイルは以下の形式である # リポジトリ名 - リビジョン [ -通し番号 ] サフィックス # # サポートするサフィックスは以下のとおり # .tar.gz : tar+gz形式のアーカイブ # / : 非圧縮のリポジトリディレクトリ # # lsの--sort=version, --indicator-style=slashオプションを # 必要とする ########################################################## set -o noglob ##################### #定数 ##################### declare -r SCRIPT_NAME=${0##*/} #バックアップが格納されているディレクトリ #このディレクトリの直下のファイルを #Subversionリポジトリのバックアップと扱う #最後に'/'を付加しないこと declare -r BACKUP_DIR_PATH="${HOME}/.backup/svn" #バックアップファイルのサフィックス declare -r BACKUP_SUFFIX_TAR_GZ='.tar.gz' declare -r BACKUP_SUFFIX_DIR='/' #バックアップファイルの種類 #-tオプションの引数として使用する declare -r BACKUP_TYPE_TAR_GZ='gz' declare -r BACKUP_TYPE_DIR='dir' #デフォルト設定 #変更する際は両方ともあわせて変更すること declare -r DEFAULT_BACKUP_SUFFIX=$BACKUP_SUFFIX_TAR_GZ declare -r DEFAULT_BACKUP_TYPE=$BACKUP_TYPE_TAR_GZ ##################### #関数 ##################### #ヘルプを出力する print_usage() { cat << EOF Usage: $SCRIPT_NAME [-t TYPE] [rm] Remove duplicative Subversion backup files. With no 'rm' option, not remove, but list target files Subversion backup directory: $BACKUP_DIR_PATH Require GNU ls with --sort=version, and --indicator-style=slash option. rm perform removal -t TYPE only TYPE files are targeted and don't remove other files TYPE is as follows: \`$BACKUP_TYPE_TAR_GZ' gzip compressed tar file whose name ends with \`$BACKUP_SUFFIX_TAR_GZ' \`$BACKUP_TYPE_DIR' no compressed repository directry [default=$DEFAULT_BACKUP_TYPE] -h display this help and exit EOF } #エラーを出力する print_error() { echo "$SCRIPT_NAME: $@" 1>&2 echo "Try \`-h' option for more information." 1>&2 } #引数のうち'/'を'\'でエスケープし、標準出力に出力する #perlの正規表現に使用する文字列をエスケープするために使用する # #引数 #$1: エスケープ前の文字列 escape_delimiter() { echo "$1" \ | perl -lpe 's{ (?= / ) }{\\}xg' } #バックアップディレクトリにあるファイルから #リポジトリ名を抽出し、 #'リポジトリ名-リビジョン'という形式で出力する # #lsの--indicator-style=slashオプションを使用して #ディレクトリである場合には最後に'/'を付加し、 #ディレクトリかどうかを判別する # #引数 #$1: バックアップディレクトリ #$2: バックアップファイルのサフィックス print_repo_name() { local backup_dir="$1" local backup_suffix=$(escape_delimiter "$2") #以下の形式にマッチする行を探し、 #通し番号、サフィックスを削除してリポジトリ名を一覧出力する # リポジトリ名 - リビジョン [ -通し番号 ] サフィックス # #形式にマッチしないファイルは無視し、出力しない ls --indicator-style=slash "$backup_dir" \ | perl -lne \ "s/ ( -[[:digit:]]+ ) #リビジョン番号 (?: -[[:digit:]]+ )? #追加の通し番号があってもよい \\Q$backup_suffix\\E #サフィックス \Q, \Eでメタ文字を無効化する \$ //x && print \$_ . \$1" \ | sort -u #重複したリポジトリ名は1つだけ出力する } #通し番号なしのバックアップファイル名のみを出力する #ファイル名はフルパスで出力する # #lsの--indicator-style=slashオプションを使用して #ディレクトリである場合には最後に'/'を付加し、 #ディレクトリかどうかを判別する # #引数 #$1: バックアップディレクトリ #$2: 対象となるリポジトリ # リポジトリ名-リビジョン という形式で指定すること #$3: バックアップファイルのサフィックス print_repo_without_serial_num() { local backup_dir="$1" local repo_name_with_rev=$(escape_delimiter "$2") local backup_suffix=$(escape_delimiter "$3") ls --indicator-style=slash "$backup_dir" \ | perl -lne \ "/ ^ \\Q$repo_name_with_rev\\E #リポジトリ名 \Q, \Eでメタ文字を無効化する \\Q$backup_suffix\\E #サフィックス \Q, \Eでメタ文字を無効化する \$ /x && print '$backup_dir/' . \$_" } #通し番号付きのバックアップファイル名のみを出力する #ファイル名はフルパスで出力する #lsの--sort=version オプションを使用し、 #バージョン番号の順番にソートして出力する # #lsの--indicator-style=slashオプションを使用して #ディレクトリである場合には最後に'/'を付加し、 #ディレクトリかどうかを判別する # #引数 #$1: バックアップディレクトリ #$2: 対象となるリポジトリ # リポジトリ名-リビジョン という形式で指定すること #$3: バックアップファイルのサフィックス print_repo_with_serial_num() { local backup_dir="$1" local repo_name_with_rev=$(escape_delimiter "$2") local backup_suffix=$(escape_delimiter "$3") ls --sort=version --indicator-style=slash "$backup_dir" \ | perl -lne \ "/ ^ \\Q$repo_name_with_rev\\E #リポジトリ名 \Q, \Eでメタ文字を無効化する -[[:digit:]]+ #通し番号 \\Q$backup_suffix\\E #サフィックス \Q, \Eでメタ文字を無効化する \$ /x && print '$backup_dir/' . \$_" } #重複したバックアップファイル名を出力する #ファイル名はフルパスで出力する # #引数 #$1: バックアップディレクトリ #$2: 対象となるリポジトリ # リポジトリ名-リビジョン という形式で指定すること #$3: バックアップファイルのサフィックス print_duplicative_repo() { local backup_dir="$1" local repo_name_with_rev="$2" local backup_suffix="$3" #重複ファイルの選択方法 # # +"通し番号"がないものが存在する場合、 # そのファイルを残すべきファイルとみなし、 # それ以外のファイルを重複ファイルとして出力する # # +すべてのファイルに"通し番号"がある場合、 # "通し番号"が最も小さいファイルを残すべきファイルとみなし、 # それ以外のファイルを重複ファイルとして出力する local num=$( print_repo_without_serial_num \ "$backup_dir" "$repo_name_with_rev" "$backup_suffix" \ | wc -l ) if [ "$num" -gt 0 ]; then #"通し番号"がないものが存在する場合 print_repo_with_serial_num "$backup_dir" "$repo_name_with_rev" "$backup_suffix" else #すべてのファイルに"通し番号"がある場合、 #"通し番号"付きファイルのうち最も数字が小さいものを除き、 #それ以外を重複ファイルとみなして出力する #呼び出された関数側でバージョン番号に基づき #ソート済みであることを前提とする print_repo_with_serial_num "$backup_dir" "$repo_name_with_rev" "$backup_suffix" \ | sed '1d' fi } ##################### #メイン処理 ##################### #変数 backup_suffix=$DEFAULT_BACKUP_SUFFIX #重複したファイルに対して実行するコマンド #デフォルトではlsで名前を出力するだけで、削除しない execute_cmd='ls -1d' #引数解析 while getopts ':t:h' option; do case $option in t) #バックアップファイルの種類を指定する if [ "$OPTARG" == "$BACKUP_TYPE_TAR_GZ" ]; then backup_suffix=$BACKUP_SUFFIX_TAR_GZ elif [ "$OPTARG" == "$BACKUP_TYPE_DIR" ];then backup_suffix=$BACKUP_SUFFIX_DIR else print_error "invalid backup type -- $OPTARG" exit 1 fi ;; h) print_usage exit 0 ;; :) #オプション引数欠如 print_error "option requires an argument -- $OPTARG" exit 1 ;; *) #不明なオプション print_error "invalid option -- $OPTARG" exit 1 ;; esac done shift $(expr $OPTIND - 1) if [ "$1" == "rm" ]; then #削除を実行する execute_cmd='rm -rf' shift fi if [ ! -z "$1" ]; then #不要な引数が指定されている場合 print_error "unknown argument -- $1" exit 1 fi for try in $(print_repo_name "$BACKUP_DIR_PATH" "$backup_suffix"); do print_duplicative_repo "$BACKUP_DIR_PATH" "$try" "$backup_suffix" \ | xargs --no-run-if-empty $execute_cmd done exit $?